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2023-02-08
コーヒーを飲んでいた。パートナーも起きてきていて、リビングの丸机で、適当な話をしていた。何の話だったのだろう。思い出そうとするが、まるで手がかりがない。とにかく、何か話していて、犬は窓から外を見ていた。大きな音がした。破裂したような音。僕らは頭を守るように、一瞬縮こまり、明らかに自宅の内側で鳴ったその音の出どころはなんなのか探る一瞬があった。何かがバラバラと落ち続ける音がして、パートナーが「え、なに?なに?」と叫んだ。振り向くと、そこはキッチンなのだが、そこで水が滝のように噴き出ていた。
水道の蛇口が根本からちぎれていた。そこから水が噴出している。僕はまな板で、キッチンの床になだれおちる水をシンクまで押し戻した。パートナーが、その間に、外にあるバルブを閉じてくれた。
水の勢いは小さくなったが、それでもまだ根本から出る水が止まらない。それはシンクと壁の隙間に着々と流れ込んでいった。
と、こんな感じの出来事があった。結局この事態は、何が引き起こしたのかと言えば、管理会社はその蛇口を施行した業者(入居時にお湯が出なかったので新しい蛇口の設置を頼んだ)の工事ミスだし「そんな蛇口が外れるなんてきいたことがないありえない」と言うし、内装業者は蛇口を留めていたネジのウケの老朽化が原因だと言った。僕はどちらでもいいのだが、その間で、交渉人のような振る舞いを強いられて、もうその時点で今日の仕事はもちろんパアになっていてそれで落ち込んでいるのに、そこへさらに責任逃れを匂わせる話を双方から聞かされてイラついた。最終的に、ウケの樹脂製のネジ山が老朽化で摩耗しており、それが圧に耐えられずすっぽ抜けた——という解釈に落ち着いたようだった。